コンタクトセンター・CX

カスタマーエフォートスコア(CES)

Customer Effort Score (CES)

顧客が問題解決や取引を完了する際の労力を測定する指標。低い労力が顧客ロイヤルティ向上につながります。

カスタマーエフォートスコア CES測定 顧客体験指標 労力削減戦略 顧客満足度調査
作成日: 2025年12月19日 更新日: 2026年4月2日

カスタマーエフォートスコア(CES)とは?

カスタマーエフォートスコア(CES)は、顧客がサポート問題の解決や購入などの目標を達成するために実際に費やした労力を測定する指標です。 従来の「満足度」指標とは異なり、CEsは「簡単だったか、面倒だったか」という実用的な側面を数値化します。重要な発見は、「顧客を喜ばせること」より「顧客の労力を減らすこと」のほうが、長期的なロイヤルティ向上につながるということです。

ひとことで言うと: 「このサービスで問題解決するのに、どれだけ面倒な手続きが必要だったか」を数字で測定。面倒が少ないほど、顧客は戻ってきます。

ポイントまとめ:

  • 何をするものか: 顧客が企業とやり取りする際の労力(面倒さ)をスコア化する
  • なぜ必要か: 労力が低いほど顧客ロイヤルティが高く、満足度以上に予測力がある指標だから
  • 誰が使うか: カスタマーサービス、顧客体験担当、コンタクトセンター管理者

仕組みをわかりやすく解説

CES測定は通常、シンプルな調査で行われます。顧客が問題を解決した直後、企業は「企業は問題を簡単に解決できるよう手伝ってくれた」という文に対して「1=全く同意しない ~ 7=完全に同意する」で評価するよう依頼します。または「1=非常に簡単 ~ 5=非常に面倒」という直接的なスケールを使うこともあります。

スコアが集計されると、企業は平均スコアを計算し、「我が社は顧客に対して平均いくら労力を要求しているのか」を理解します。その後、「なぜ労力が高いのか」を調査します。例えば「電話サポートで3回転送された」「必要な書類を3種類提出する必要があった」など、具体的な労力源を特定します。

最後に改善施策を実行します。例えば「ウェブポータルで1回で完結できる機能を追加する」「事前に必要書類をリストアップするメールを送る」など、労力を減らす取り組みを行い、その後もCESで測定を続けて、改善効果を検証します。

計算方法

基本的なCESスコアの計算:

  • 平均CES = 全回答者のスコア合計 ÷ 回答者数
  • 例:100人が回答して、合計スコアが500の場合、CES = 5.0

目安・ベンチマーク:

  • 1-7スケール: 4.0以上が良好(業界平均は約4.5)
  • 1-5スケール: 3.5以上が良好(業界平均は約3.7)
  • 低労力体験(スコア高)の顧客満足度: 約91%
  • 高労力体験(スコア低)の顧客満足度: 約4%

スコアが低い(労力が高い)ほど、顧客の不満と離脱リスクが増加します。改善の優先順位は、スコアが特に低いタッチポイントから始めるべきです。

なぜ重要か

顧客が企業とやり取りする際の労力が少なければ、その企業への信頼が高まり、繰り返し利用する確率が上がります。業界研究では、低労力体験をした顧客の96%がロイヤルティを保つことが示されています。対照的に、高労力体験をした顧客は競合他社への乗り換えを検討しやすくなります。企業にとっても、労力を減らすことでカスタマーサービス部門の負担が減り、効率が上がります。複雑な手続きを簡潔にすれば、問い合わせ件数そのものも減少するため、全体的なサポートコストが削減されます。

実際の活用シーン

保険請求処理 - 保険契約者が請求を申し込む際、「書類5種類の提出が必要で、承認に2週間かかる」という高労力プロセスをCESで測定。改善策として「オンライン申込で2種類に削減、3営業日対応」に変更。CESスコアが3.2→5.8に向上し、解約率も低下。

銀行の口座開設 - 新規顧客が「店舗訪問、本人確認書類準備、複雑なフォーム記入」という手続きに苦労。CESで「7=非常に面倒」の評価が多く、Web完結化、自撮りで本人確認対応に改善。スコアが2.1→5.3に改善、新規開設申込が30%増加。

テクノロジーサポート - ユーザーがバグを報告する際、「メール送信→返信待ち→詳細情報の再送信→解決」という多段階プロセスをチャットサポートに変更。リアルタイム対応で労力削減、CES4.2→6.1に改善。

メリットと注意点

CEsの最大のメリットは、顧客ロイヤルティの予測精度が非常に高いことです。満足度アンケートより、CEsのほうが「この顧客は続けて利用するか」を正確に予測できます。企業側も改善方向が明確で、「何を改善すべきか」が一目瞭然です。一方、課題もあります。施策実行には投資が必要で、「ウェブプラットフォーム構築」「プロセス再設計」など時間とコストを要します。また、調査実施のタイミングを誤ると精度が落ちます(問題解決直後ではなく1週間後に聞くと、記憶が曖昧になり正確でない)。さらに、労力削減ばかり追求すると、必要な品質確保プロセスまで削られてしまうリスクもあります。

関連用語

  • 顧客満足度 — 満足度とCESは異なる指標で、両方を測定することで顧客体験を全面的に理解できます。
  • 顧客ロイヤルティ — 低労力体験はロイヤルティ向上の最大要因で、CEsスコアが高いほどロイヤルティが高い傾向があります。
  • 顧客体験 — CESは顧客体験の重要な側面を定量的に測定する方法です。
  • プロセス最適化 — CEsが示す労力を削減するためには、プロセスの最適化が不可欠です。
  • ネットプロモータースコア — NPSと組み合わせて使用すると、顧客の全体像をより完全に把握できます。

よくある質問

Q: 低CEsスコアが出たら、どう改善すればいいですか? A: 根本原因を特定することが重要です。顧客の自由回答コメントを分析し、「何が面倒だったのか」を理解します。多くの場合、不要な確認項目、複雑なシステム、複数部門への問い合わせが原因です。優先度の高い原因から順に改善します。

Q: CEsとNPS(ネットプロモータースコア)の違いは何ですか? A: NPSは「この企業を友人に薦めたいか」という感情的な質問ですが、CEsは「対応は簡単だったか」という実用的な質問です。NPSは長期的なロイヤルティを示し、CEsは即座の体験品質を示します。両方測定することが最も有効です。

Q: CEsの改善でコストをかけすぎていないか、確認するにはどうしますか? A: 改善による売上増加や離脱削減の効果をROIで計算してください。「労力削減に100万円かけて、月5万円の顧客離脱を防げた」なら、20か月で回収できます。スコア改善だけでなく、ビジネスインパクトを併せて測定することが大切です。

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